平成15年8月29日判決言渡同日原本領収 裁判所書記官 小林一成
平成15年(ワ)第1058号 建物賃料請求事件
口答弁論終結日 平成15年7月30日
             判         決
東京都中野区鷺宮一丁目1番7号
     原      告        城 堅人こと
                     城     堅  司
     訴訟代理人弁護士        浅  倉  隆  顕
さいたま市大宮区大門町二丁目27番地
     被      告        株式会社大宮旅行開発
     代表者代表取締役        赤  塩     秀
     訴訟代理人弁護士        福  田  晴  政
             主         文
1 被告は、原告に対し、125万5770円と、これに対する平成15年2月
 1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は、仮に執行することができる。
            事 実 及 び 理 由
第1 請求
   主文と同じ
第2 当事者の主張
 1 請求原因
  (1) 被告(平成14年7月29日、「株式会社ホテルアクシオン館山」から商
   号変更)は、ホテル・ペンションの経営管理等を目的とする会社である。
  (2) 原告は、昭和62年6月4日、被告に対し、千葉県館山市小沼字居下35
   0、字平砂浦371ー181その他所在のホテルアクシオン館山(以下「本
   
   
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   件ホテル」という)を、次の条件で賃貸した。この賃貸借契約に基ずく債務
   の保証人は、日本サン・ランド株式会社である。同契約は、平成10年6月
   に更新されて、現在に至っている。
   @ 期間 本件ホテルの営業開始日から10年間(昭和63年6月開業)
   A 賃料 純客室料金売上額の40パーセント相当額に、999分の1及び
    口数を乗じた金額(ただし、1口当たり年額18万円を最低保証)
     原告の保有口数は1口である。
   B 支払方法 毎年1月から12月までの賃料を、翌年1月末日限り、指定
    口座に振込送金する方法で支払う(以下、例えば平成15年1月末日に支
    払うべき賃料を「平成14年分」という)。被告は、毎年の賃料から、年
    会費1万0500円(消費税含む)、損害保険料年額4180円、固定資
    産税年額1万3358円を控除することができる。
  (3) 未払賃料 125万5770円
   @ 平成7年分から平成11年分まで 75万9810円
     最低賃料18万円から、年会費1万0500円(消費税含む)、火災保
    険料年額4180円、固定資産税年額1万3358円を控除した額(15
    万1962円)の5年分
   A 平成12年分から平成14年分まで 49万5960円
     最低賃料18万円から、年会費1万0500円(消費税含む)、損害保
    険料年額4180円を控除した額(16万5320円)の3年分(被告は、
    日本サン・ランド作成名義で、平成12年3月、原告に対し、固定資産税
    を原告に負担させるという通知をした)
  (4) よって、原告は、被告に対し、賃料125万5770円と、これに対する
    平成14年分の賃料の弁済期の翌日である平成15年2月1日から支払い済み
    まで、商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
 2 請求原因に対する認否
 
 
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  (1) 請求原因(2)に関し、原告と被告が、昭和62年6月4日、本件ホテルにつ
    いて、原告主張のとおりの賃貸借契約を締結したことは認める。しかし、被
    告は、その後賃借人の地位を喪失したから、原被告間の賃貸借契約が平成1
    0年6月に更新されたという部分は否認する。
  (2) 請求原因(4)は争う。
 3 抗弁
  (1) 賃借人の変更
    本件ホテルの賃貸借契約締結後、賃借人は、被告から日本サン・ランドに
   変更され、その後、同社が本件ホテルを占有使用してきた。
    本件ホテルの賃料を支払っていたのは、被告ではなく、日本サン・ランド
   である。原告を含む本件ホテルの会員も、日本サン・ランドに対して、賃料
   に関する問い合わせや請求を行っている。
  (2) 代物弁済
   ア  日本サン・ランドは、平成8年1月31日、本件ホテルの会員に対し、資
     金繰りの悪化を理由に、賃料について、通貨ではなく、ホテルのパスポート
     や無料宿泊券(以下「宿泊券等」という)で支払うことを認めるよう申入れ
     をした。
   イ  ほとんどの会員は、この申入れを承諾し、宿泊券等を賃料の代わりに受領
     した。したがって、遅くとも平成8年1月31日までに、原告との間におい
     ても、宿泊券等を交付することにより賃料債務の弁済に代えるという黙示の
     合意が成立した。原告は、この合意に基づき、長年にわたり、宿泊券等を賃
     料の代わりに受領してきた。
 4 抗弁に対する認否
  (1) 抗弁(1)は否認する。
  (2) 抗弁(2)のアは認めるが、イは否認する。原告は、被告側の代物弁済の申入
    れを拒否している。
    
    
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第3 裁判所の判断
 1 請求原因について
   原告と被告が、昭和62年6月4日、本件ホテルについて、原告主張のとお
  りの賃貸借契約を締結したこと(請求原因(2))は、当事者間に争いがない。ま
  た、被告が、ホテル経営等を目的とする会社であること(同(1))、被告が、平
  成7年分から平成14年分までの本件ホテルの賃料を、所定の方法で支払わな
  かったこと(同(3))は、明らかに争いがない。
   被告は、平成12年3月、原告に対し、固定資産税を原告に負担させるとい
  う通知をした(甲9)。したがって、平成12年分から平成14年分までの本
  件ホテルの賃料について、固定資産税相当額が控除されるべきではない。
   本件ホテルの賃料の弁済期について、その平成14年分は、平成15年1月
  31日である。
   なお、本件ホテルの賃貸借契約の成立に関する限りでは、自白の撤回につい
  て検討を加える必要はない。
 2 抗弁(1)(賃借人の変更)について
  (1) 証拠によれば、次の事実が認められる。
    本件ホテルの賃貸借契約は、昭和62年6月4日、原告と被告の間で締結
   された。保証人は日本サン・ランドである(甲2)。この契約に関し、甲2
   以外に、更新契約書等が交わされた形跡はうかがわれない。なお、被告と日
   本サン・ランドは、いずれも株式会社アクシオンリゾートの関連企業であっ
   た(甲1の14の1)。
    本件ホテルの賃料の支払について、少なくとも、平成2年1月31日付け
   11万8840円の振込と、平成5年2月1日付け12万3503円の振込
   は、被告名義で行われたことが明らかである(甲3の1)。また、本件ホテ
   ルの「94年度賃料及び諸経費明細」、「平成10年度諸経費明細」、「98
   年度修繕費」、「平成11年度諸経費明細」の通知は、いずれも被告名義で
   
   
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   発せられている(甲6、12、13、14)。
    平成12年3月吉日付けの「ホテル・アクシオン」会員各位で始まる通知
   は、日本サン・ランド名義であるが(甲9)、「平成11年度諸経費明細一
   式を同封させていただきました」とあるとおり、被告名義の甲14と一体と
   なっていた。
  (2) 日本サン・ランドが、本件ホテルを占有使用していたと認めるに足りる証
   拠はない。
  (3) 以上によれば、本件ホテルの賃貸借契約締結後、賃借人が、被告から日本
   サン・ランドに変更されたとは認められない。
 3 抗弁(2)(代物弁済)について
  (1) 日本サン・ランドが、平成8年1月31日、本件ホテルの会員に対し、資
   金繰りの悪化を理由に、賃料について、通貨ではなく、宿泊券等で支払うこ
   とを認めるよう申入れをした事実(抗弁(2)ア)は、当事者間に争いがない。
  (2) これに対し、ほとんどの会員が宿泊券等による代物弁済に応じたことを認
   めるに足りる証拠はない。
    原告は、平成11年8月5日、日本サン・ランドに対し、「御社と小生の
   間の当初の契約の約定を遵守していただくよう要請いたします」という通知
   をしている(甲8)。この通知は、原告が、日本サン・ランドに対し、昭和
   62年の賃貸借契約の内容に従い、本件ホテルの賃料について、保証債務の
   履行を求めたものと理解すべきである。このように、原告は、平成11年に
   なっても、本件ホテルの賃料の支払を求めているのであるから、原告が遅く
   とも平成8年1月31日までに、代物弁済の(黙示の)合意をしたと認める
   ことはできない。
    仮に、原告が、被告叉は日本サン・ランドから送付された宿泊券等を受領
   していたとしても、これを金券として使用した形跡はうかがわれない。そも
   そも、代物弁済の合意が成立していない以上、宿泊券の交付により賃料債務
   
   
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   消滅の効果が生ずるとはいえない。
 4 したがって、被告の抗弁はいずれも失当である。
第4 結論
   以上のとおりであるから、原告の請求は理由がある。よって、主文のとおり
  判決する。
   東京地方裁判所民事第35部
            裁判官     松   田   典   浩
            
            
            
            
            
            
            
            
            
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